海外生活10年目

カナダ移住は大正解?

滝沢 修

2009.8発売

さんざん悩み抜いて実行に踏み切ったカナダ移住から早10年。実際に住んでみて、カナダ人のおおらかさ&ドライさに触れ、良くも悪くも刺激を受けつつどうにかここまで生きてきた。住みやすく、日本に比べ生活保障は悪くないし特別イヤなことがあるわけじゃない。

なのに、日本への想いが募るのはただの感傷なのか?魅力有るカナダ生活は捨てられないが、日本をずっと離れるのも寂しい。そこでひらめいた「日本への逆ロングステイ」!!!安全で快適生活する場としてのカナダと、楽しく刺激的な旅行先としての日本。年に3〜4ヶ月単位で日本に暮らす。苦労して手に入れた海外永住の生活を精算することなく、海外生活の環境を保持しながら旅行先としての日本、ロングステイ先の日本を楽しむという考え方は、外国暮らしの先に見える究極のライフスタイルかもしれない。

…新たな提案をひっさげ、他にもカナダでのビジネス成功の秘訣、カナダ人のメンタリティの違いに纏わる数々のエピソード、カナダ目線で見る日本の姿、体を張った著者独自の英会話習得法等々、海外生活10年目にしてわかることがたっぷり満載!

                   

目 次
はじめに 

第一章 人生最大の選択をカナダで活かす

 大切なのは表現できない妙な自信 
 誰にでもある海外移住への不安 
 世間の目が無い世界 
 ビジネス成功の秘訣は「カラ元気」 
 海外移住の成功マニュアルなど存在しない 
 愛犬「ケンケン」のカナダ移送大作戦! 
 カナダの動物警察 

第二章 カナダ人の「ノー・プロブレム!」 
 東海道新幹線の涙 
 玄関に置かれたクリスマスカード 
 店長が出世したくないワケ 
 外国暮らしは住環境で全てが決まる 
 カナダ式セミリタイア 
 超大物社長がヒラ社員に転身?
 自分が住む町を愛するカナダ人 
 心の中のエンターテイメント 

第三章 ちがうのがあたりまえ

ゴーストタウンのクリスマス 
 二十二個のグレープフルーツ 
 許されるいい加減さ  
 流行のない国? 
 市民が主役になれる国 
 ムダがない、カナダの医療制度 
 ワインフェステバルの本当の姿 
 カナダの消費税が低いと思える理由 

第四章 カナダ→日本を眺めてみた 
 日本の道路とカナダの道路 
 東京のお店はハズレがない 
 海外旅行をしない/したくない若者へ 
 世界で一番おもしろい都市 TOKYO 
 消せない日本への想い 

第五章 五感で情報収集する!? 
 外国に対するイメージを壊してみる 
 頼るのは自分の五感だけ 
 海外生活は一〇〇点満点にはならない 
 日本人が日本人を差別しないために 
 食費は一ヶ月五万円だと思ってしまえば気が楽になる 
 日本食には困らない 
 ゲリラ的英会話習得法!? 

第六章 外国生活の先にあるものは何? 
 浦島太郎にはなりたくない! 
 十年刻みの歴史観を持つこと 
 妻と語り続ける時間 
 生まれてくる寂しさ 
 日本への逆ロングステイ 
 異文化交流の交差点 

c追記c 夢を追い求める新たな移住者たち 
 果てしない探求 カナダのワインの魅力を追って 
 マルチな才能 カナダで起業した女性実業家

立ち読み

誰にでもある海外移住への不安

 海外旅行は、基本的に最初から最後まで楽しめるものです。よほどのトラブルに見舞われない限り、決められた日程と、計画された行程を存分に味わうことができます。海外移住の場合は、一定量の不安が付きまといます。好きで選んだ海外移住ですから、不安の量や質よりも、先に見え隠れする希望や期待の方が多ければ良いのだろうと思います。

 私がカナダへの移住を決断したのは、三十歳のときでした。それから一年余りの時間をかけて、カナダ移住への準備を続けました。移住を考えはじめた当初は、希望や期待だけが無目的に広がっていく心境でいられます。ところが、移住が現実味を帯びてくるに従い、今度は様々な不安が姿を現すのです。仕事はどうするのか? 収入は得られるのか? 住む場所はどうするのか? いろいろな不安や課題は果てることなく、不安や心配となって神経を刺激してきます。
 三十歳という年齢が良かったのかもしれません。ある意味、体力勝負のような感覚で考えることができましたから、「ダメでもともとだ」という開き直りに似た決断が下せたのだと思います。

 カナダに移住したい、という願望を抱きながら、その一方で、移住した後に仕事や生活が行き詰ったらどうしようか?という不安は常に頭にありました。その不安を消そうと努力するのですが、しかし、完全に消え去ることはありません。なぜなら、それらの不安がどれ程のものなのか、それを実感できるのは、実際に移住しなければ分からないからです。まるでシーソーのように、期待と不安がゆらりゆらりと左右に揺れる心境です。
 先行きの不安は、できるだけゼロに近づけたいと願うのですが、世の中、そんなに甘くはありません。ましてや場所が外国に移るので、分からないことや、未経験のことが多くなります。そして、ここで大きく二つのタイプに分かれると思います。

一つ目のタイプは、いつまでも不安を抱えたまま悩むよりも、思い切って移住という行動を起こしてしまうタイプです。このタイプは、実際に移住してから見えてくる問題に対して、その場で対処することによって、移住前から抱いてきた不安を消し去ろうとします。
二つ目のタイプは、移住する前に、抱いている様々な不安を完璧に消し去ろうと努力をするタイプです。これは、理想的に見えますが、不安が完璧に無くならない限り、移住できない状態に陥ってしまいます。極論を言えば、いつまで経っても移住できないまま、いたずらに時間だけが過ぎ去ってしまいます。海外移住に対する不安を、完全に消し去ることなど、現実には不可能なことだと理解するべきでしょう。

三十歳でカナダに移住した私は、当時の所持金で細々と食いつないだ場合、私と妻と愛犬とで、二年間が経済的な限界地点でした。ということは、二年間の猶予期間があるという考え方もできるわけです。私はその二年間で、カナダで生活できるだけの形を作ることに、全精力を注ぐことを選択したのでした。その二年間で、カナダで生活できる形が作れなければ、潔く日本に戻って、再びゼロからやり直そうと覚悟を決めていました。

実際にカナダに移住してみると、分からないことや、未経験のことが次から次へと出没してきます。友人や知人の助けを借りながら、それらを解決させていくのですが、こうしたことの経験が、やがていろいろな場面で活かされるのです。最初は、分からないことであっても、経験することで次からは自分で理解して対処できるようになります。

具体的な例をあげてみましょう。例えば、電気代の請求書が送られてきます。日本のような口座自動引き落としというシステムではありませんから、「さて、どのように支払うのだろうか?」と悩んでしまいます。知人や友人に、支払い方法を教えてもらうことで、最初の支払いが無事に完了します。これで一安心ですが、問題はここからです。次からは、自分でやれるようにする、ということが肝心です。せっかく経験したことを覚えようとせず、また同じことを誰かに依存することは避けなければなりません。

分からないことや、未経験のことはたくさん出現してきます。しかし、それらは体験を通して、自然に理解できるようになります。移住前に抱く不安の大半は、それまでに経験したことがないために、あるいはまったくイメージができないというように、自ら答えが見つけられないことに起因しています。
分からないことで不安を抱くとするなら、その解決方法は、その不安がある場所へ行ってしまうことです。海外移住に対する不安を、日本という場所で延々と悩んでいても、何も解決しないのですから。
(第一章 人生最大の選択をカナダで活かす より抜粋)

※アマゾン他全国書店にて好評発売中