★★★ トラベルヴォイスの刊行物 ★★

男ひとり地球半周 船の旅

野々村 誠

2010.11発売

遙か昔、怖いもの知らずだった子供の頃漠然と夢想した世界一周の夢。テレビや新聞やあらゆるメディアから得た知識だけじゃ物足りず、いつの日か世界中を、7つの海を渡りたい!そんなことを想うことは誰にでもある。(実現するかどうかは別として)著者も又、いつしか世界を渡ろうと密かにこころを熱くしていた一人だった。

定年を迎え、さてこれからどう生きていくか?と考えた時、新たなビジネスのスタート前の自由な時間のあるうちに世界一周の前哨戦として(?)地球半周(世界半周)の船旅をしようと決心。 本来3ヶ月世界一周のプランだが、都合で途中乗船の38日間乗船プランに参加した。

ギリシャ(ピレウス港)からヨーロッパの都市(ナポリ・バルセロナ・ル・アブール・アムステルダム)を経てノルウェー、アイスランド・グリーンランドに立ち寄り、ニューヨークへ、そして帰国。船旅では、移動時間の長さに比例してゆったりと乗客との交流が育まれ、飛行機ではあり得ない新たな交流も生まれた。乗船前の一人参加の不安も吹っ飛び、改めてパック旅行とは違った独特なスタイルであることを実感した。クルージングの醍醐味は、やってみなければわからない。通過するだけの旅では、ない。

立ち読み

序章 船旅の計画

 かねてより、退職して自由な時間ができたら、長期間の海外旅行をしてみたいと思っていた。その方法の一つとして、ヨーロッパを中心としたクルーズがよいと考え数年前から資料を集め、夢を膨らませてきた。

一般的な世界一周クルーズとしては、「飛鳥U」、「にっぽん丸」、「クイーンエリザベス二世」などの豪華客船で、約百日間かけて世界を回るものがある。このクルーズは、船の内側で窓がない部屋は一人三〇〇万円から、海を見渡せるバルコニー付きのスイートルームは一八〇〇万円と、ピンキリである。また、地中海やエーゲ海クルーズは、10〜14日間で、船室にもよるが、五〇〜八〇万円である。特にクルージングでは、時間とお金があり、社会で功成し、名を遂げた人たちが、夫婦で参加するケースが多いようである。しかし、男ひとりで参加するには、まず、食事の時に寂しい思いをすること、安い料金で乗船した場合には、船内で食事やサービスに格差があるため惨めな思いを味わうことになり、参加者は少ないようである。

 その中で、ある居酒屋さんの店内に「ピースボート」という船で世界一周をするという広告と資料請求のはがきがあった。なんと当時(三年前)は、四人部屋では98万円で世界一周ができるというのである。酔いのついでにそのはがきを一枚もらい鞄に入れておいた。しばらく忘れていたが、鞄の中の探し物をしていたときに、そのはがきが出てきたので資料請求をしてみた。しばらくするとピースボートのパンプレットが送られてきた。

平成一九年九月中旬の日曜日、第62回ピースボートの船旅の説明会が中野サンプラザで開催されるとの案内をもらい参加した。説明会では、前回の乗船者は、約九〇〇人で、10〜20代が35%、30〜40代が20%、50〜70歳代が45%で、70〜80%は一人で乗船しているとのことである。また、船内での生活や過ごし方、水先案内人によるイベントや自主企画の種類、英会話習得プログラム(GET)などの紹介の後、62回クルーズの寄港地やオプションについて説明があった。

 ピースボートは、約二五年前に日本の若者達に世界の情勢を体験してもらうという趣旨で始まったそうである。しかし、ピースボート(平和の船)のイメージとしては、カンボジアでの地雷撤去、ヨルダンでの難民キャンプの訪問、ニューヨークの国連本部での平和活動やベネゼエラへの訪問など、どちらかというと「思想的な団体の船旅」という印象があった。しかし、最近では、定年退職者や時間に余裕のある好奇心旺盛な高齢者の乗船が増えており、寄港地プログラムでも観光地への参加者が多く、ピースボートのイメージも安い料金で世界一周ができる船というように変わってきたようである。

今回の参加費用は、燃料の高騰により約50%高くなり四人部屋で一四八万円になっていた。早期の申し込みの場合には、旅費が割引になること、申し込み後約三ケ月前までならば無料で解約できるとのことであった。説明会で新しいパンフレットと申込書をもらい、後日、内容を確認し、一〇四日間世界一周の船旅に申し込み、一人部屋を希望して約二四〇万円を銀行に振り込んだ。

年が明けた平成二〇年一月、職場では組織替え等により新人が配属されたため、再任用として残ってくれないかとの打診を受けた。幸い、週三日程度の勤務で休暇の取得も融通がきくとのことなので受けることにした。したがって、一〇四日間の世界一周の船旅はキャンセルせざるを得なかった。このことを、ジャパングレースのTさんに伝えると快く受け入れてくれた。このとき、船室に空きがあれば航海の途中から乗ることもでき、四月以降に問い合わせくださいと教えてくれた。支払った前金も返金されてきた。

 平成二〇年三月に定年退職し、同じ職場で勤務が決定したので、退職後思い切ってピースボートに乗ることを決め、Tさんに世界一周は無理だが、ギリシャのピレウス港からアメリカのニューヨークまで約一か月間乗船できるか問い合わせた。幸い、空きがあり、乗船できるとのことだったので、四月上旬に申し込んだ。今回は、約一ヵ月間の乗船なので、乗船料、ボートチャージ、チップ、保険、及び寄港地プログラム料として、合計七五万七六〇〇円を支払った。

 62回のピースボートの船旅は、五月一四日に横浜港を立ち、アジアからスエズ運河を経てヨーロッパに寄港し、今回初めての訪問であるアイスランドとグリーンランドを経てニューヨークに行く。その後、南米のベネゼエラ、パナマ運河を通り北上してアラスカを経て、八月二五日に帰国するという計画である。
 私は、このうち、六月一五日のギリシャのピレウス港で乗船し、ヨーロッパの都市を経て、今回特に行ってみたかったアイスランドとグリーンランドに立ち寄り、七月一四日にニューヨークで下船し、そこで一週間を過ごす計画である。すなわち、ピースボートには約一か月乗船し、アテネとニューヨークで約九日間を過ごすことになる。

 そこで、まず、東京からギリシャまで、ニューヨークから東京までの航空券を確保しなければならない。インターネット等で格安航空券を探した結果、HISで手配してもらった。航空運賃は、成田―ギリシャ(英国航空)が132140円(税・燃料サーチャージ込み)、ニューヨークー成田(アメリカン航空)が107000円(税・燃料サーチャージ込み)であった。同じ航空会社を使えば、もう少し安くなるのだが、この路線を飛んでいる航空会社がないため、また、片道航空券のため割高になる。同時に、ギリシャでのホテルとニューヨークでのホテルの手配も頼んだ。

 次に、ギリシャのアテネでの半日観光とミニエーゲ海クルーズをネットで調べ、JTBアテネ支店にお願いした。半日観光とミニクルーズの代金は、それぞれ、52ユーロ(8772円)と95ユーロ(16026円)であった。ニューヨークでの滞在中の予定は、まだ充分に詰めていなかったが、ボストンとナイアガラの滝には行きたいと考えていたので、同じくJTBニューヨーク支店とメールでやり取りし、値段や日程などを確認していった。予定では、ボストン一日観光が269ドル(30669円)、ナイアガラ一日観光が339ドル(36488円)であった。

 また、ピースボートでの寄港地プログラムについては、ジャパングレースのIさんと打ち合わせを行い予約していった。最終的な予約は、船内で行うことにした。さすがに、後からの予約なので、行きたいと思っていた寄港地プログラムは埋まっており、キャンセル待ちの状況であったが、次のコースの予約やキャンセル待ちをお願いした。

6月18日(水):青の洞窟(キャンセル待ち)、ヴェスビオ山とエルコラーノ遺跡(予約)。
6月20日(金):バロセロナ一日観光とフラメンコ観賞(予約済)
6月27日(金):アムステルダム半日観光(予約済)
7月3日(木):環境先進国に学ぶツアー(予定)
7月7日(月):グリーンランドに学ぶ環境問題(予定)

 また、今回は、長旅でもあるので持参する物を絞り、デジタルカメラ、DVDカメラ、旅行中にインターネットを使えるパソコンを持っていくことにした。今回の旅で携帯したものを表に示す。(P182参照)
 ついでに、退職後にダンスを再開することにしていたので、ダンス教室に通ってタンゴとワルツだけを集中的に教わり、船上でダンスを楽しもうと思っていた。

目 次

序章 船旅の計画 

 第一章 旅の始まりはギリシャから
  いよいよ出発
  アテネ到着と市内観光
  念願のエーゲ海ミニクルーズ  
  ピースボート(PB)に乗船
 
 第二章 地中海へ
  ピレウス港から出発
  イオニア海をクルージング
  エルコラーノ遺跡とヴィスビオ山ハイキング
  地中海をクルージング
  バルセロナ観光とフラメンコ鑑賞
  一日クルージングと麻雀大会予選
  麻雀大会決勝
  大西洋をクルージング
  フォーマルディナー&フォーマルダンスパーティ
 
 第三章 フランスから北欧へ
  フランスのル・アブールとエトルタ
  北海をクルージング
  アムステルダム市内観光
  ノルウェーへ
  北の街・ベルゲン観光
  ソグネフィヨルドへ
  
 第四章 北極圏の国へ(アイスランド・グリーンランド)
  行ってみたかった北の海へ
  一日クルージング
  アイスランド・レイキャビックに着く
  グリーンランドに向けて航行
  クルージング
  グリーンランド・ヌークに到着
  船酔いとフォーマルディナー
  アースデイ
  NYに向けて航海
  ラストダンス
 
 第五章 ニューヨーク再訪
  暁のニューヨーク港と市内観光
  NYでのエコ体験と下船
  NY市内散策と大リーグ・オールスターパレード
  ボストン観光
  ナイアガラの滝観光
  JFK空港から帰国へ
  帰国
  
 もうひとつのクルージング in HAWAII
  ホノルルへ
  マウイ島カフルイ
  マウイ島鯨ウオッチング
  ハワイ島ヒロ観光
  ハワイ島コナ
カウアイ島ナウィリウィリ一日目

カウアイ島ナウィリウィリ二日目
ホノルルから帰国へ

※アマゾン他全国書店にて好評発売中